親委員会H19年度活動報告

地下空間研究委員会
                              幹事長 入江 健二

                  
 本委員会は,平成6年度に土木学会に常設されて以来,地下空間利用における人間中心の視点に立ち,“地下空間学”の創造をめざす研究活動を行ってきた.その活動領域は,土木工学のみならず,都市計画,建築,法律,医学,心理学,福祉さらには芸術の分野にまで及んでいる.
 本委員会では「計画小委員会」「防災小委員会」「心理小委員会」「維持管理小委員会」「普及小委員会」の5つの小委員会と,毎年初めに開催している地下空間シンポジウムおよび論文発表において,その企画運営と論文審査を行う「地下空間シンポジウム実行委員会」「論文・報告集編集委員会」を設置している.その中で各々のテーマに基づき研究活動を精力的に行うとともに,シンポジウムや土木学会年次講演会での研究討論会,共通セッションなどを通じて,広く委員会外の方々とも論文発表ならびに意見交換や討論を行ってきている.また,地下に関連した災害,重大事件・事故には迅速に対応し,討論会の企画や報告書として成果の公表も行ってきたところである.
本年度は第四期の最終年であり,今期3ヵ年の研究成果の取りまとめとともに,地下空間の有用性を広く発信する試みを積極的に進めてきた.
 将来の地下空間利用を担う小学校高学年生を対象として,夏休みに「街の地底探検 ~感じる 考える 地下空間利用~」をテーマとする「夏休み親子見学会」を.東京,大阪の2会場(東京地下鉄副都心線,京阪電鉄中之島新線)で初めて開催した.各会場では約20名の参加者とともに,見学やクイズを通じて都市における地下空間利用を実感し,その必要性などを考えてもらい,参加した小学生には「こども地下空間博士」証を贈った.この催しは今後も継続して,地下空間の有用性について一般の理解を深めていきたいと考えている.
 また土木学会年次講演会における研究討論会では,トンネル工学委員会との共催で「地下構造物のライフサイクルデザイン/マネジメント ~時代に求められる良質な地下構造物のつくり方とつかい方のトレンド~」をテーマに意見交換を行った.高度経済成長時代から盛んに建設されてきたトンネルや地下構造物等は既に半世紀ほどが経過して,維持管理の重要性がますます大きくなっている.このような背景の下で,地下構造物の設計,施工から維持管理にいたるまでのデザインやマネジメントのあり方,それらを実現させるために必要となる構造物の要求性能,性能規定,性能評価,劣化予測などについて委員会での研究成果を主体に話題提供を行い,課題や今後の展望などについて議論した.これは将来の地下空間利用の発展を見据えて本委員会が取り組む重要なテーマの一つと考えている.
 地下空間研究委員会の設置から12年が経過したが,その間わが国の地下空間利用を取り巻く環境は大きく変わってきている.いわゆる「大深度法」の成立や地下街に関する規制の緩和などが進んでいる中,各種の都市問題解決のために地下空間が果たしてきた役割は大きいといえる.
一方,地震時における地下空間の構造的安全性が高いことについて一般市民の認知が不十分であり,それにより発生が予想される無用な避難やパニックへの対策と啓蒙の必要性,火災や浸水・水没に対する防止策と適切な避難誘導策と被害軽減策の必要性など,地下空間利用に際して対応すべき課題は未だ多い.本委員会は,今後とも安全・安心・快適な地下空間づくりを目指すとともに,地下空間の有用性を説くべく,新たな視点で研究を進めてゆく所存である.
 皆様方には,これまで以上に委員会活動への積極的なご参加とご支援をお願い申し上げる次第である.                                 

以上
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